
FXを始めると、必ずと言っていいほど目にする「スワップポイント」という言葉。
「ポジションを持っているだけでお金がもらえる」
「為替が動かなくても毎日利益が積み上がる」
そんな話を聞くと、思わず惹かれてしまいますよね。
でも、ちょっと待ってください。
そのスワップ、本当に得していますか?
この記事では、スワップポイントの仕組みとともに、そこに潜む見落としがちなリスクや誤解について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
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スワップポイントとは?仕組みをやさしく解説
スワップポイントとは、FXで取引する通貨ペアの金利差から発生する利益またはコストのことです。
たとえば、日本円(低金利)でメキシコペソ(高金利)を買えば、その金利差の分が毎日スワップポイントとして受け取れる、という仕組みです。
逆に、金利の低い通貨を買って高金利通貨を売ると、スワップポイントを支払う立場になります。
「毎日利益がもらえる」=安心ではない
この仕組みだけを見ると、
「じゃあ高金利通貨を買って持っておけばお得じゃん」と思いがちですが、現実はそう甘くありません。
スワップポイントの落とし穴|見逃してはいけない5つのリスク

1. 為替レートの変動で損失が拡大する
スワップを得るには、ある程度長くポジションを保有する必要があります。
その間、為替が大きく動いてしまえば、スワップ益なんて簡単に消し飛びます。
例:メキシコペソ/円を10万通貨保有
スワップ:1日+80円 → 30日で2,400円の利益。しかし、為替がたった1円下がると… → 含み損が10,000円
「スワップで得したい」と思っていたはずが、気づけば損失が拡大。
これは、スワップ投資でよくある典型的な落とし穴です。
2. 高金利通貨=安定していない通貨
スワップを狙う投資家がよく選ぶ通貨(トルコリラ・南アフリカランド・メキシコペソなど)は、基本的に新興国通貨です。
これらの通貨は、
- 政治リスクが高い
- 経済状況が不安定
- 急な政策変更が多い
といった特徴があり、価格が暴落しやすいのが実情です。
たとえば、過去にはトルコ中央銀行が突然の利下げを発表し、
トルコリラが1日で10%以上急落した事例もあります。
スワップどころか、一気に資金を失うリスクもある――
それが高金利通貨の現実です。
3. スワップ額は日々変動する
「毎日〇円もらえる」と思っていても、スワップポイントは一定ではありません。
金利情勢やFX業者の判断で、いつでも変動する可能性があります。
昨日までは+80円だったのに、今日は+50円、明日は+30円……
こんなケースは、実際によくあります。
安定して得られる利益のように見えても、実はとても不安定な収入なのです。
4. FX会社によってスワップ条件がバラバラ
同じ通貨ペアを取引していても、どのFX会社を使うかによって受け取れるスワップが大きく異なります。
A社:+75円
B社:+50円
C社:+60円
この差は小さく見えても、長期保有では大きな違いになります。
さらに、中にはスワップ条件を予告なく変更する業者もあるため、
「いつの間にか不利な条件になっていた」ということも。
初心者ほど、業者選びで苦戦しやすくなります。
5. スワップ狙いは“時間効率”が悪い
スワップ投資は、少しずつ利益を積み上げるスタイルです。
そのため、短期間で大きく増やすことは期待できません。
たとえば10万通貨を1カ月保有して得られるスワップが2,000円だとしても、
その間に為替が1円動けば、スワップ以上の損益が発生します。
しかも資金はそのポジションに固定されるため、他のチャンスを逃す可能性も高くなります。
「保有するだけで利益」という言葉に飛びついてしまうと、
資金効率・時間効率の悪い投資になってしまう可能性があるのです。
スワップは“おまけ”くらいに考えるのがちょうどいい

ここまで読んでいただいた方なら、もうお気づきかと思います。
スワップポイントは、うまくいけば利益になるけれど、決して安全ではない。むしろリスクのほうが多い側面もあるのです。
スワップポイントは、あくまで「オマケ」として考えるべき。「もらえたらラッキー」くらいの意識で、主軸は為替差益で勝負することが大切です。
初心者へのアドバイス|“魅力的な罠”に気をつけて
スワップ投資は、決して“楽して儲かる”ものではない